日常の中から紐解いていく、LEXUS DESIGN AWARDの3つのキーワード(2)

LEXUS DESIGN AWARD,アート,建築,プロダクトデザイン

13:30

クリエイターとしての「個」を問うために

——LDAでの体験は、現在のデザイナーとしての仕事にどのように生かされていますか?

山崎:僕は大学の卒業制作を提出していたので、社会人になってすぐにLDAを経験しました。いきなり海外に行って英語でプレゼンして、しかも世界中から集まった人のデザイン思考に触れることができました。ミラノでの出展ももちろんそうですし、レベルの高い環境をデザイナーとしての出発点にできたことがよかったなと思っています。

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2016年授賞式の様子

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2016年ミラノデザインウィークでの展示風景

竹鼻:これを経験していると、その後のいろんなことが楽に感じますよね(笑)。ミラノでのプレゼンの際、海外の人たちからは哲学的な質問が多く、訓練になりましたね。日本というガラパゴスな環境にいると、そういった方々と出会うことがないので、一回海外での体験をしておかないと、世の中がよりグローバル化した時に対応できないんじゃないかと。LDAは、デザイナーとしての未来のためにも、絶対挑戦しておいた方いいプラットフォームなんだと思います。

吉添:僕は名前を出さないようなクライアントワークが9割なので、できるだけ“我を消す個性”を大事にしてきたのですが、アワードを通してミラノで展示をした際に、外国の来場者の方から「あなたがヒロトというのね」と言われる経験をして、はじめて「個人」として扱われたような、そんな衝撃があったんです。その感覚は、いまの仕事にかなりいい影響を与えてくれています。このアワードが個人の強さみたいなものを、どう普段のクリエイティブや仕事でも発揮できるのかということを、自分自身に問ういいきっかけをくれた気がします。

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アワードというコミュニティから、世界への挑戦のきっかけに

——最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。

山崎:コンペは自分の哲学を用いて自由な領域でつくることできる、とてもいい機会だと思っています。とにかく楽しんでつくって「これが自分の一部です」と言えるかどうかに向き合うことができる、大切な場だと思います。

また、僕は受賞から4年経っていますが、他の受賞者のみなさんといまだに深い関わり合いがあり、アワードをきっかけに海外の友人もたくさんできました。SNSでつながって、みんな頑張っているんだなと普段の心の支えにもなっているので、ぜひみなさんにもそういう出会いをしていただきたいと思います。

吉添:あまり気負わずに、応募することをもっと身近に感じてもらえたらいいなと思いますね。結果ももちろん大事だけど、自分のクリエイティブを見てもらえる貴重な機会ですし、自分の作品に向き合うことで、クリエイティブの根源に近づくことができる、いいきっかけになると思います。

竹鼻:これからは社会が確実に変化していくと思っています。そんな時に重要なのは挑戦することで、自ら動くことができるかどうか。厳しい言い方かもしれないですが、能動性がない人はどうしても淘汰されていくと思うんですよね。デザイナーなのであれば、能動的であるために、こういったアワードに挑戦することは必然だと思います。誰かに後押しされてやるのではなく、やるのが当たり前といった世の中になっていくと思うので、ぜひ挑戦してみてください。

LEXUS DESIGN AWARD 2021 審査員:サイモン・ハンフリーズさん インタビュー

審査員を務めるサイモン・ハンフリーズさんは、長年レクサスのブランドアイデンティティの構築や、トヨタおよびレクサスにおけるデザイン領域のリーダーとしての役割を担ってきた。LDA 2021の募集にあたって、本アワードに込めた想いや、LDAのキーワード「Anticipate(予見する)」「Innovate(革新をもたらす)」「Captivate(魅了する)」が生まれた背景、応募者へのメッセージをお話しいただいた。
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サイモン・ハンフリーズ 英国で工業デザインを学び、1988年からデザイン会社で工業デザイナーとして働いたのちに、1994年にトヨタ自動車入社。以来デザイン領域でリーダーシップを取り、LEXUSブランドのアイコンとなったスピンドルグリルをはじめ、デザインにおけるブランドアイデンティティ構築を担う。2016年にED2(Toyota Europe Design Development)の社長に就任、トヨタ自動車が「自動車会社」から「モビリティカンパニー」へと移行するなかで、e-Palette Conceptなど将来を見据えたモビリティデザインの企画を提案した。2018年に帰国後、 デザインの領域長としてトヨタ・LEXUS双方のデザインの指揮を執っている。プライベートでは日曜大工を楽しみ、100年前の日本農家の復元とリノベーションにも挑戦している。

––レクサスがLDAに込めている想いについて聞かせてください。

レクサスには、「将来の社会をよりよくしていきたい」という想いがあります。そのためには、デザインやエンジニアリングに限らず、あらゆるクリエイティビティが社会にとって必要だと考えています。LDAを通して世界全体のクリエイティビティの底上げをしていくと同時に、応募してくださる方の今後のキャリアにつながるチャンスになればと思っています。

LDAは、プロやセミプロ、学生など、幅広い方々からの応募が集まる、オープンな場です。このアワードが受賞された方にとって人生の大きなターニングポイントになる可能性もありますし、デザインやクリエイティビティを大事に考えている社内のデザイナーにとっても、とてもいい刺激になっています。

––レクサスのキーワード「Anticipate」「Innovate」「Captivate」が生まれた背景について教えてください。

1989年に創設されたレクサスブランドは、ラグジュアリーブランドとしては比較的若く、伝統やブランドヒストリーのある他ブランドの模倣ではなく、お客様の潜在ニーズに沿った新しい価値を提供しようとしてきました。プロダクトだけではなく、デザインや体験を含めた新しいライフスタイルのあり方を提案し、これまでの高級車のあり方を変えようとしています。

もともとレクサスは、全てにおいて妥協することなく、より良いものを追求し続けていく「YET」という言葉を、ブランド哲学を表す言葉のひとつとして使用していました。その後、ブランドが進化するなかで「Anticipate」「Innovate」「Captivate」という言葉を使いはじめましたが、これには日本独自の文化が背景にあると思っています。

日本には、人に寄り添い、心遣いをする「おもてなし」という文化があります。また、相反するモノを組み合わせて全く新しい価値を生み出す文化もあると思います。ブランドを押し付けるのではなく、お客様に寄り添い、常に新しい価値を提供し続けることが、レクサスのブランドとしての独自性で、その為には常に自らを再定義していくことも必要だと思っています。3つの言葉は、それらを具現化するためのキーワードだと考えています。

––いま、デザイナーやデザインに求められていることは何だと思いますか?

例えばコロナ禍で移動が制限されたことで、これまでの自由に移動できる状況がどれだけありがたかったかを、多くの方が身をもって実感したと思います。ロックダウンによって、何ヶ月も家族と会うことができないような人もいる中で、人間の自由に移動したいという欲求にどう応えていくのか、というようなデザイナーは考えていくべきだと思います。

まわりの状況や時代の空気など、あらゆる事象との関連性から新しい提案を生み出すのがデザイナーの役割だと思います。苦しい状況からクリエイションというものは生まれるものなので、人と人とのつながりが絶たれてしまっているいま、将来のためのイノベーションがまだまだ必要だと思います。

––最後に、応募者に向けてのメッセージをお聞かせください。

審査員としての素直な気持ちは、将来を変えるようなデザインが集まるといいなと思っていますね。自分の作品やアイデアが、決して小さいものだと思わずに、自分自身で将来を定義していくような、勢いを持って提案していただきたいです。

たとえ英語が上手でなくても、「Creativity speaks for itself」。いいアイデアであれば、クリエイティビティは自ずと伝わるものです。未来をつかみ取るような気持ちで、ぜひアワードに応募してください。

■LEXUS DESIGN AWARD 2021

募集テーマ:Design for a Better Tomorrow

入賞:ファイナリスト6組、うちグランプリ1組

入賞者賞典:
・世界的クリエイターによる継続的なメンタリング
・メンタリングワークショップへのご招待
・プロトタイプ制作費支援
・ミラノデザインウィークでの作品展示・ご招待
※賞典の内容や開催場所は変更になる可能性があります。

審査基準:
「Anticipate 予見する」 個人だけでなく、広く社会のニーズまでもを予見したコンセプトやデザインであるか
「Innovate 革新をもたらす」 革新的で独創性のあるアプローチや手法を用いているか
「Captivate 魅了する」 提案されたコンセプトやデザインは人々を魅了するものであるか

応募締切:2021年10月12日(月)AM6:59

詳細:https://lexus.jp/brand/lexus-design/design_award/

写真:西田香織 文:高野瞳 編集:堀合俊博(JDN)

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